新たな流通の社会実験
絵本のもともとの物語と誰かが誰かに手渡す時に生まれるもうひとつの物語。その二つの物語を同時に乗せて、絵本が「旅する」ように人から人へと手渡されていきます。買うでもなく、借りるでもない。これは「旅する絵本♥」という新たな流通方法の社会実験でもあるのです。
ラボ代表ドンハマ★の思い
私は、大人になってから、絵本のおもしろさを知り、2014年から大人を対象とした「絵本のよみきかせ会」を各地でおこなってきました。おかげさまで、たいへん多くの方々にご参加いただき、大人がほっこりできる場、笑顔になれる場をたくさん、作り出すことができました。
しかし、その一方で、絵本のおもしろさをもっと多くの方々に伝えたいけれども、よみきかせの会だけでは、なかなか出会えない方々もたくさんいらっしゃって、それをなんとかしたいと思ってきたのです。
そこで思いついたのが、一冊の絵本が人から人へと手渡しされていく、この「旅する絵本♡」という企画です。よみきかせ会をスタートしてから集めた、約1000冊の絵本が私の家にはあります。それをそのまま個人で所有するのではなく、私の手元から旅させることで、もっと多くの出会いや価値が生まれるのではないかと思いついたのです。
送り出す絵本には、新しいモノも古いモノもあります。それぞれ、かげかえのない個性を持った絵本たちです。この絵本が、あなたから次の誰かに手渡され、「その旅」がいつまでも続いていくことを切に願っています。
私の手元を離れて、二度と戻ることのない絵本たちではありますが、私自身が旅に出たとき、どこかで偶然に出会うことがあったなら、そしてそれまでに多くの人々に読まれてきたを知ったなら、そんなことを思うと今から楽しみで仕方ないのです。
旅する絵本♥のしくみ
- 例えば、Aさんから、Bさんに「旅する絵本♡」シールを貼った絵本を手渡したとします。
- ふたりで、よみきかせしても良いし、絵本について、しばし語りあったりしてください。
- 受け取ったBさんは、絵本のブックポケットにある「旅する絵本♡台帳」も見てください。 これまで絵本を受け取ってきた人たちのいろんなコメントも書かれています。
- Bさんも「台帳」に日付・名前(ニックネーム可)・お住まい(市町村)・一言感想を書いてください。
- 次に、Bさんも、手渡したいと思う誰かに、その絵本を旅させてください。
- ブックポケットに「また貸しをやめましょう」とありますが、今回は、誰かに手渡ししていただいて良いのです。
- 絵本を旅させるまでの期限は特にありませんが、忘れてしまうと絵本の旅が終わってしまうので、1カ月を目安にしていただけるとうれしいです。
- facebookには、旅する絵本♥の専用ページがあります。旅の途中経過なども投稿いただけるとうれしいです。(写真付き大歓迎)
- お気に入りの絵本になったら、書店などでの購入もご検討ください。
- 「台帳」がいっぱいになったら、えほん未来ラボまでご連絡ください。新しい台帳を送付せていただきます。
30いま、旅をしている絵本たち (2023/10/20現在)
1388 冊(えみラボ分のみ)
旅する絵本♡のリアル拠点『旅する絵本♡工房』(巣鴨)は、2023/1/29 閉鎖しました⇒ くわしくばコチラ
【ギャラリー】旅する絵本♥
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香川→フィンランド
旅する絵本♥の本質は、共感資本社会へとつながる
お金を資本とした貨幣経済に対して、人々の共感を中心とした経済活動が注目されています。生態系の破壊、資源の枯渇、経済格差の拡大など、過剰な経済成長や富の拡大を追い求めることで、社会の行き詰まりが至るところに起きています。サスティナブルで心豊かな社会は、私たち人間同士のつながりを抜きに考えられないと多くの人が感じ始めていると思います。
共感資本社会のコンセプトと相通ずるものが、旅する絵本♥にはあると感じています。「お金」を介する仕組みではないけれども、人と人がお互いの思いを交換し、社会に価値の循環を起こすという点こそ、旅する絵本♥の本質であり、共感資本社会が目指すものと一致していると思うのです。この旅する絵本♥という社会実験を通して、私たちがありたいと願う未来社会の実現に一歩でも近づきたいと考えています。
「旅する絵本♡会議」の実録レポート(無料)ができました
【動画】おいしい旅する絵本の作り方(2分27秒)