絵本でめぐるSDGs

つながりを地球規模で取り戻す

SDGs 17の開発目標

SDGsを「分断されたつながりを地球規模で取り戻す」ことだと表現する人がいます。生きとし生けるものすべてとのサスティナブルな共生関係を実現するには、SDGsの考え方がもっと広がる必要があると考えています。私たちは、絵本を使ったワークショップを将来的に企画し、SDGsの普及に貢献したいと考えています。

なぜ、絵本でSDGsなのか?

【多様性の存在そのものだから】

絵本は、昔話から現代や未来をテーマにしたもの、食べ物や乗り物など日常生活を描いたものから親子や人間同士の心にテーマを当てたもの。もちろん人間だけではありません。動食物や昆虫や魚たちが主人公も絵本もたくさんあります。表現形態も、絵だけでなく、写真であったり、立体であったり、デジタル化されたものもあります。 表現ジャンルも形態もおよそ人類が考えるおおよそのことは網羅しているように思われるのです。 つまり、絵本自体が多様性そのもので、SDGsの普及を担うにも相応しい存在と言えるのではないでしょうか。もともとは子供向けに作られているとしても、年齢問わず、0歳から100歳を超えても楽しめることからも《多様性を多様性で表現し、多様性を受け入れる 頼もしい存在》だと言えると思います。

【ラボ代表ドンハマ★が、絵本の多様性を感じたきっかけ】

絵本の活動を始めるとだんだんその数が増えたので、整理しなければと思っていました。意を決してやりはじめたのですが、どうやっても、うまくいかないのです。本棚に並べるとしても、単行本ならある程度大きさもそろっていますし、難なく並べることができると思います。しかし、絵本は判型もバラバラで、タテに長いのもあれば、ヨコに長いのもあります。結局、どう並べてもまとまり感がなく、もはやあきらめムードで、床にそれらの絵本を並べて見たのです。

パズルのようにぴったりはまった絵本たち

すると不思議なことに、一見バラバラに見える絵本たちが、まるでパズルのようにきれいに並んだのです。その時、思いました。絵本は一冊一冊、形が違ってバラバラに見えるけれど、全体ではひとつにまとまっている。これって人といっしょで、絵本たちは、人類の理想の形を体現して、示してくれているのではないか?そんな風に思ったのです。ですから、誰ひとり取り残さないというSDGsの考え方と、絵本の在り方はとても親和性があると思うのです。



関連絵本のご紹介

☆ご紹介する絵本は、必ずしもテーマそのものを取り扱った作品ではないことをあらかじめご理解ください。

★書名タイトに関連ページへのリンクが貼っています。

 【貧困をなくそう】

 
タイトル 王さまライオンのケーキ
作者 マシュー・マケリゲット 文・絵 野口絵美 訳
出版社 徳間書店
紹介コメント 貧困って、その国や地域によって貧困の内容や度合いがちがうので、とても難しい問題です。どの答えが正解なのかはわからないけれど、それぞれの思いやりと知恵でもって分かち合い、相応に満たされていく様子は貧しさを小さくするために、自分たちができることを考えるきっかけになるかな、と思いました。(うきょうさん・兵庫)
 
タイトル そらいろのたね
作者 中川 李枝子 文 大村 百合子 絵
出版社 福音館書店
紹介コメント 同じ地球の資源なのに、食べ残す国もある、ゴミの中から食べ物を探す国もある。 食べ残す国にいると、仕方ないと思いがちです。毎日の生活の中で、それでいいのか、分け合うことはできないのかという、根本的な疑問を持ち続けるのは難しいです。 でも「欲張りはダメだよ」。子どものころはみんな知っていました。この絵本はシンプルに伝えています。「欲張りはダメだよ」と。(笑子さん・東京)
 
タイトル ジョニーのかたやきパン
作者 ルース・ソーヤ 文 ロバート・マックロスキー 絵 こみや ゆう 訳
出版社 岩波書店
紹介コメント 貧困から脱するには、本人の自覚と努力も必要かもしれない。しかし、貧困の中にいる自分がその方法を見つけ、実践するのは容易なことではないだろう。物語のかたやきパンが少年の「貧困から抜け出したい」という意志の表れだとしたら、アヒルや牛や羊たちは、彼を支援する存在の象徴なのかもしれない。貧困からの脱出に、支援の輪が必要なのだと感じる。(ドンハマ★さん・千葉)

 【飢餓をゼロに】

 
タイトル あんぱんまん
作者 やなせたかし 文・絵
出版社 フレーベル館
紹介コメント 自己を犠牲にし、何の躊躇も無くお腹を空かせ身心弱り果てている者を助けに行くあんぱんまんの強く優しい姿。作者やなせたかしさんが“戦後の日本”を思い生み出した絵本としてのあんぱんまんは、テーマそのものです。(BONさん・神奈川)
 
タイトル ぎょうざのひ
作者 かとう まふみ 文・絵
出版社 偕成社
紹介コメント 飢餓や栄養失調は、生命にかかわる問題だが、日本で発生する場合の原因は、自然災害よりも虐待などの社会問題と密接に関連するケースが大半だと思う。そういう観点から「生きるための食」にとどまらない、「人々がつながる食」の大切さを改めて思う。この作品を読んで、家族や仲間で、大騒ぎしながら食事する、そんなシーンが世界中にあふれていたら良いなと思う。(ドンハマ★さん・千葉)
 
タイトル 給食番長
作者 よしなが こうたく 文・絵
出版社 好学社
紹介コメント お腹が空いていなくても飢餓状態という子どもがいる時代です。生命維持に関わるような飢餓の情報も大切ですが、残さない、バランス良く、必要な量を健康的に食べることが自身にとっても大切であるし、回り回って食べられない人たちのところにも食べ物が循環していくことにつながっていくということで、この飢餓をゼロにつながると感じています。(うきょうさん・兵庫)

 【すべての人に健康と福祉を】

 
タイトル えほん障害者権利条約
作者 ふじい かつのり  文・絵
出版社 汐文社
紹介コメント
2006年12月13日に生まれた「障害者権利条約」。日本は、世界に遅れて8年後の2014年にようやく批准しました。でも、その遅れは大切な条約を絵に描いた餅にしないための丁寧に国内法の整備にかけた時間だと信じています。一人ひとりが大切にされる社会をめざして、一人でも多くの方に知っていただきたいお話を、当事者の藤井克徳さんがわかりやすく解説しています。(ゴディさん・福岡)
 
タイトル アントン先生
作者 西村 俊雄 文・絵
出版社 講談社
紹介コメント 登場するそれぞれの動物の身体的な特徴、精神的寄り添い、怖がられているトラの注射がこわいことは内緒にしたり、いろんな意味で満たしてくれる医療がすぐそこにあること。そのアントン先生が倒れれば、だれかがその変わりをしてすべての人が健やかであることの幸せを描いてくれていると思います。(うきょうさん・兵庫)
 
タイトル おばあちゃんとバスにのって
作者 マット・デ・ラ・ペーニャ 文 クリスチャン・ロビンソン 絵 石津 ちひろ 訳
出版社 すずき出版
紹介コメント 主人公ジェイは、おばあちゃんと一緒にスープキッチンに向かいます。そこは、無料で食事を提供する場所で、二人は毎週ボランティアにいくのです。ジェイは、少し気分が乗らないのですが、途中、バスでさまざまな乗客とふれあうい、温かい気持ちに変わっていきます。福祉の場だけでなく、日常的に人が認めあい、労わりあう世の中でありたいと思います。(ドンハマ★さん・千葉)

 【 質の高い教育をみんなに】

 
タイトル がちょうのペチューニア
作者 ロジャー・デュボワザン 文・絵 松岡 享子 訳
出版社 冨山房
紹介コメント

がちょうのペチューニアの勘違いに周りが振り回されていく内容です。本を持っているだけで知識人?となって知ったかぶりの言動をするペチューニアにふりまわされていく動物たち。最後には大失敗となりますが、本はどうする物か理解し、皆を幸せにしたいと思うペチューニア。続編では、知識を得たペチューニアがお金も計算できるようになっていたり、幸せになっていく様子がえがかれています。是非ともシリーズで読んでいただきたいです(おっちょこちょいみちこさん・兵庫)

 
タイトル どうぶつがすき
作者 パトリック・マクドネル 文・絵 なかがわ ちひろ 訳
出版社 あすなろ書房
紹介コメント

はじめて読んだとき、ラストの演出に心掴まれました。 どんな国、どんな家に生まれようと、子どもは自分なりの夢を持っています。教育は、本人が生きるためだけではなく、その夢を応援する社会からのプレゼントではないでしょうか。子どもが持つ、夢・未来への明るい希望・一途さを思い出させてくれる絵本です。(笑子さん・東京)

 
タイトル ひらがなにっき
作者 若一の絵本製作委員会 文 長野 ヒデ子 絵
出版社 解放出版社
紹介コメント 字が書けないということで、自分の銀行口座も自由に使えない、人権が損なわれるようなことがあることに悲しくなった絵本です。自在に使えると思い込んでいる文字、言葉の一つ一つのありがたみを感じる大好きな絵本です。(うきょうさん・兵庫)
 
タイトル ありがとう、フォルカー先生
作者 パトリシア・ポラッコ 文・絵 香咲 弥須子 訳
出版社 岩崎書店
紹介コメント 絵を描くことが得意だけれど、字が読めないトリシャは同級生からいじめられていた。でも、5年生になった時新しい先生が来て、トリシャが本当に文字が読めないことに気づき、放課後の特訓が始まる。トリシャにあったやり方で。一人の先生との出会いがトリシャの未来を開く。誰もが、トリシャのようにフォルカー先生に出会えたらいいなと思う。(ヨウコさん・群馬)
 
タイトル わたしのとくべつな場所
作者 パトリシア・マキアック 文 ジェリー・ピンクニー 絵 藤原 宏之 訳
出版社 新日本出版社
紹介コメント

人種差別の現実に直面し、心折れそうになるパトリシアの気持ちを支えたのは家族と「誰でも自由に入ることができる」という言葉が入口に刻まれた公共図書館の存在だった。経済格差が機会格差を生んでいる現代社会だからこそ、誰もが機会平等に学べる社会教育の場の必要性を強く思う。(ドンハマ★さん・千葉)


 【ジェンダー平等を実現しよう】

 
タイトル ママがおうちにかえってくる!
作者 ケイト・バンクス 文 トメク・ボガツキ 絵 木坂 涼 訳
出版社 講談社
紹介コメント ママがお仕事からお家にかえってくる!パパがエプロンをきゅっとむすんで、ご飯の準備を始める。家には3人の子どもたち。パパが赤ちゃんにミルクをあげる。おにいちゃん2人がおさらを運ぶ。ママの帰りをみんなで待ってお帰りなさいとお出迎え。最後は、猫も犬も家族全員揃って食卓を囲んでご飯を食べる。この日だけが特別じゃなくて、ふだんの日常感がでていて素敵。左のページはパパたちが家でご飯の支度をする様子、右のページはママがお仕事から帰ってくる様子、その時間の流れも男だから仕事、女だから家事ではなくて自然さがいい感じ。(林みっちさん・兵庫)
 
タイトル ママが10にん⁉
作者 天野 慶 文 はまの ゆか 絵
出版社 ほるぷ出版
紹介コメント ママが10人いたら子どもは何でもすぐにやってもらえて、うれしいかも知れないけれど、ママの立場からは10人いても足りないくらい忙しい。でも、どうして、ママだけが忙しいの?(ヨウコさん・群馬)
 
タイトル おによりつよいおよめさん
作者 井上 よう子 文 吉田 尚令 絵
出版社 岩崎書店
紹介コメント 鬼はね、こんなはずじゃなかったと最初は言いたかったと思う。でも、刷り込まれた、鬼らしさ=強さ・凶暴さを求められて、本当は窮屈だったのかもしれない。怪力のお嫁さんは、いつも自然体でふるまっているだけ。ジェンダー問題の解決とは、実は、自分らしさにこだわるというに尽きるのかもしれない。(ドンハマ★さん・千葉)

 【安全な水とトイレを世界中に】

 
タイトル トイレをつくる 未来をつくる
作者 会田 法行 文・写真 
出版社 ポプラ社
紹介コメント ストレートにトイレの絵本です。水道や電気が行き届かない地域のトイレというものが、健康や文化につながり、子どもたちの未来につながっていることがわかりやすく伝わる写真絵本です。(うきょうさん・兵庫)
 
タイトル みずとはなんじゃ?
?作者 かこ さとし 文 鈴木 まもる 絵 
出版社 小峰書店
紹介コメント

毎日の生活に欠かすことのできない水、私たちはそんな水のことをどのくらい知っているのだろうか?蛇口をひねって、水が出てくる、それは当たり前のことではない。水の大切さを知ると同時に、安心、安全な水が簡単に手に入らない人がいることも知らなければならないと思う。(ヨウコさん・群馬)

絵本作家のかこさとしさんは、工学博士としての視点から科学絵本を何冊も書かれていますが、最後の出版となったこの絵本は、水の性質や役割について「にんじゃ」「いしゃ」などという言葉を使って、私たちにわかりやすく教えてくれます。 水が地球上に無くてはならないものであり、みんなで水を大切にしようという気持ちを育ててくれる本です。動物達と一緒に、かこさとしさんご本人のイラストも登場する最後のページに感動させられます。(pecoさん・神奈川)

 
タイトル 水おとこのいるところ
作者 イーボゥ・ロザーティ 文 ガブリエル・パチェコ 絵 田中 桂子 訳 
出版社 岩崎書店
紹介コメント 開いた蛇口から生まれた水おとこ。人々は最初、水おとこを避け、嘲笑しますが、それは水を無駄にしている、加害者でもある自分の姿を重ねているのかもしれません。「必要な場所に必要なだけ」が長い地球とのお付き合いの中では必要だと思います。(ドンハマ★さん・千葉)
 
タイトル トイレをたすけたさるこ
作者 糸井 重里 文 高畠 純 絵 
出版社 TOTO出版
紹介コメント 日本にいると公共トイレの当たり前な安全性や使いやすさの有難さを忘れてしまいがち。でも地球のいろんな場所では、衛生的で安全なトイレの環境がないところも。さるこさんの優しさ溢れる勘違いに癒されながら、ドキッと考えさせられる絵本です。地元企業のTOTOに親しみを込めて推薦します。(ゴディさん・福岡)

 【エネルギーをみんなにそしてクリーンに】

 
タイトル 風の島へようこそ
作者 アラン ドラモンド 文・絵 まつむら ゆりこ 訳
出版社 福音館書店
紹介コメント 自然エネルギーで100%自給できるか試すために選ばれた島のお話です。はじめ、ほとんどの人は無理だと考え、無関心でした。考え方には賛成でも、行動に移すほどではない、そんなもんです。でもお話では、ハーマンセンさんがリーダーとなり、地道に協力者を増やしていき、ついに、自給90%まで達成してしまうのです。そんなにうまくいくかしら…と思いきや、なんと創作ではなく、デンマークにあるサムス島での実話でした! やればできる、みんなで知恵を出しあえばなんとかなると、本気で思わせてくれる本です。(笑子さん・東京)
 
タイトル だむのおじさんたち
作者 加古 里子 文・絵
出版社 復刊ドットコム 福音館書店
紹介コメント かこさとし先生のデビュー作(1959年)です。エネルギー不足から停電が頻繁に起こる戦後の日本で、工学博士でもあった作者が、どんな未来を子どもたちに残したかったのか、開発と豊かさが一冊の中に描かれているのではないかと思います。(うきょうさん・兵庫)

 【働きがいも経済成長も】

 
タイトル ウエズレーの国 
作者 ポール・フライシュマン 文 ケビン・ホークス 絵 千葉 茂樹 訳
出版社 あすなろ書房
紹介コメント 主人公ウエズレーが夏休みの自由研究で、自分の考えを実行し、形にしていくことで、友達との信頼関係を築いていく物語。 新しい作物をそだて、そこから広がる、衣食住までも、変えていくお話が、働きがいや、経済成長にも通じると思います。(なべちゃん・東京)
 
タイトル いしをつんだおとこ
作者 あきやま ただし 文・絵
出版社 ハッピーオウル社
紹介コメント 家も何もない男が、寒さを凌ぐために、石を積み上げて住む場所を作ろうとする。やがて、周囲の人々が助けてくれたり、期待されたりして、男のやっていることは町の誇りとまで言われるようになる。男が最後に息子に自分はただ石を積んできただけ、それがいつのまにか生きがいとなった、仕事とはそういうものという言葉に重みを感じる。仕事に生きがいを感じることが働きがいとなるのではないだろうか。(ヨウコさん・群馬)
 
タイトル そのこ
作者 谷川 俊太郎 文 塚本やすし 絵
出版社 晶文社
紹介コメント

イラストからはアフリカの暑い光、埃っぽい空気も伝わってきます。そういった自然の風景の中で働く子どもの姿が描かれます。「そのこ」と呼ばれるこの子の背景やこれからを想像してみると、「働く」という一面が見えるような気がしています。(うきょうさん・兵庫)

児童労働がテーマの絵本というと、まずこの絵本が頭に浮かぶ。自分の置かれた状況だけでなく、世界に目を向け、想像することから、ありたい未来に向けての変革が始まるのだと思える一冊(ドンハマ★さん・千葉)


 【産業と技術革新の基盤をつくろう】

 
タイトル まよなかのせんろ
作者 鎌田 歩 文・絵 
出版社 アリス館
紹介コメント 電車なんて、時間通りに来るのが当たり前。少しでも遅れたらイライラします。でも夜のうちに、こんなふうに点検されて安全が守られていたとは。普段は想像もしませんが、知らないところでたくさんの方、たくさんの社会基盤に守られているんだなあと改めて思いました。(笑子さん・東京)
 
タイトル だいすきなもの
作者 公文 健太郎 写真 
出版社 偕成社
紹介コメント ネパールの小さな村の子どもたちがそれぞれの好きなものを教えてくれます。「飛行機がすき、パイロットになりたい」「木と森がすき、水を運んでくれるから」と語るこの子たちに必要なものを必要なだけ届けるには、どうしたらいいのかを考えさせられます。(うきょうさん・兵庫)
 
タイトル はらぺこあおむし
作者 エリック・カール 文・絵 もり ひさし 訳
出版社 偕成社
紹介コメント 産業と技術革新のインフラとは、インターネットのように世界中に届くということでもあると思う。1969年発刊のこの絵本は、これまでに60以上の言葉に翻訳され、4000万部以上発行されているそうだ。(ドンハマ★さん・千葉)

 【人や国の不平等をなくそう】

 
タイトル サンパギータのくびかざり
作者 松居 友 文 ボン・ペレス 絵 
出版社 今人舎
紹介コメント フィリピンの島、ミンダナオ島に住む女の子リンには、病気のお母さんがいます。なぜリンのお母さんが病気なのか、なぜリンがくびかざりを売るのか。フィリピンの海外出稼ぎ、プランテーション農業のことなども考えると、ストーリーだけでなく、イラストの端々にミンダナオの「今」を感じられる1冊だと思います。(うきょうさん・兵庫)
 
タイトル せかいでいちばんつよい国
作者 デビット・マッキー 文・絵 なかがわ ちひろ 訳 
出版社 光村教育図書
紹介コメント 「むかし大きな国がありました。大きな国の人々は自分達の暮らしが最高だと信じていました。だから、世界中の人々を幸せにするために、世界を征服しようと考えました。」絵本の中の設定なら、この考えは間違っていると気づきます。でも、現実社会にも、この考えがある気がしてなりません。人と国の不平等をなくすとは、どうすることを言うのか。10番のテーマを考えるとき、この絵本が思い浮かびました。(笑子さん・東京)

 【住み続けられるまちづくりを】

 
タイトル くいしんぼうのあおむしくん
作者 槇 ひろし 文 前川 欣三 絵
出版社 福音館書店
紹介コメント 人間のゴミをどんどん食べて大きくなるあおむしくん。 工場を食べて地球をきれいにするお話かと思ったら最後、おなかの中に、工場があって青い空の世界がありました。自然、人間、工場が正しく共存することを考えさせられます。(さなえさん・神奈川)
 
タイトル オトばあちゃんの回覧板
作者 矢野 文雄 原作 荒木 みのり 文 大原 隆行 絵
出版社 セヤノコ
紹介コメント 身寄りのないお年寄りを村人が交代で介護をします。村中の人の名前が書いている回覧板をお世話をした後、次の方へ回していきます。大人だけでなく子どもたちも一緒にお世話をします。介護をその家族だけの問題でなく、地域として受け止める。今は時代や暮らしが違うのでこの仕組みをそのまま受け入れられないでしょうが「住み慣れた町で自分らしい暮らしを出来るだけ長く続けたい」を考えるきっかけになる絵本だと思います。(くらちゃん・滋賀)
 
タイトル 妖怪バリャーをやっつけろ
作者 三島 亜紀子 文 三島 エツコ 絵 平下 
タイトル 妖怪バリャーをやっつけろ
作者 三島 亜紀子 文 三島 エツコ 絵 平下 耕三 監修
出版社 生活書院
紹介コメント きりふだは、障害の社会モデル!2001年にWHOが発表した「障害」の概念ですが、日本では、それを学ぶ機会が少ないのが残念です。国際ルールを知ることで、誰もが暮らしやすいまちを創ることができると思います。みんなで妖怪バリャーをやっつけましょう!(ゴディさん・福岡)
 
タイトル 地球生活記
作者 小松 義夫 文・写真 
出版社 福音館書店
紹介コメント 世界には本当にいろんな家があります。地下の家、ごちそうつきの家、川に浮かぶ家、移動する家…それらは全て、気候や環境に適した家だという、当たり前なことに感動します。それなのになぜ、都会のマンションはどの国もみんなそっくりなんだろう? 世界中いろんなところに住んでいる、全ての人にとって安心安全な家ってどんなの? あまりの多様性に圧倒される写真集です。(笑子さん・東京)

 

 
タイトル 空をつくる
作者 村尾 亘 文・絵
出版社 小さい書房
紹介コメント 絵を描くのが好きな主人公は、みんなから「空を描いて」と頼まれる。なぜなら、都市にみんなが集中し、競って家を建てたら、空がほとんどなくなってしまったから。近未来を感じる一冊(ドンハマ★さん・千葉)

 

 
タイトル ちいさいおうち
作者 バージニア・リー・バートン 文・絵
出版社 岩波書店
紹介コメント ちいさいおうちは、いなかの豊かな自然に囲まれ、四季の移ろいを感じられる場所にありました。時の流れとともに、道路ができ、ビルが建ち、電車が通るようになると、まちは一日中明るく、やかましく、人々は忙しくなりました。そんな時、ちいさいおうちに目を止めた人がいて…。  便利とか効率の良さでは測れなくても、私たちが暮らす上で大切にしたいものは何だろう?と考えさせられました。(pecoさん・神奈川)

 【つくる責任つかう責任】

 
タイトル もったいないばあさん
作者 真珠 まりこ 文・絵
出版社 講談社
紹介コメント ご飯は一粒も無駄にしない。ゴミも使えるところまで再利用。「もったいない」を思い出させてくれた真珠さんにも、その言葉の奥深さを再認識させてくれたワンガリ・マータイさんにも敬意を表したいと思います(ゆうき★さん・東京)
 
タイトル 希望の牧場
作者 森 絵都 文 吉田 尚令 絵
出版社 岩崎書店
紹介コメント いつもこの絵本を読む度に「職責」ってなんだろう? と考えさせられます。生産者はどこまでが生産者としての責任なんでしょうか? 消費者の責任としてなにが出来るのか? この絵本には原子力エネルギーのあり方なども含め、いろんな問題をつきつけられます。(匿名希望)

 

 
タイトル おじいちゃんのコート
作者 ジム・エイルズワース 文 バーバラ・マクリントック 絵 福本 友美子
出版社 ほるぷ出版
紹介コメント おじいちゃんが結婚する時に仕立てたコート。ぼろぼろになると「はさみでチョキチョキ、ミシンでカタカタ、針でチクチクぬったらば」、上着に、ベストに、ネクタイにと生まれ変わります。それと共に家族の歴史も刻まれて…。こんな風に物を大切にできたら素敵だと思いませんか?(pecoさん・神奈川)
 
タイトル どうぐ
作者 加古 里子 文・絵
出版社 瑞雲舎
紹介コメント ねじや歯車やばねやいろんな部品が集まって、何かをするための道具が生まれる。人間が何かの目的で、工夫し、作ってきているのが道具です。今もし加古さんがご健在なら、限りある資源のことについても描かれたかもしれないと思いました。(ドンハマ★さん・千葉)

 【気候変動に具体的な対策を】

 
タイトル CO2のりものずかん
作者 三浦 太郎 文・絵
出版社 ほるぷ出版
紹介コメント 気候変動? 環境問題? 幼い子どもにはさっぱりわかりません。私たち大人も、二酸化炭素が地球によくないことは知っていますが、何がどのくらい排出するのか、イメージできません。でも、この本は、見れば誰でもわかります。しかも、とってもオシャレ。二酸化炭素についてお説教されなくても、お子さんと一緒に楽しむだけで「車より電車」だと実感できる絵本です。(笑子さん・東京)
 
タイトル いちごばたけのちいさなおばあさん
作者 わたり むつこ 文 中谷 千代子 絵
出版社 福音館書店
紹介コメント まだ、目に見えない科学的な情報を小さな子どもたちに伝えるときに、こういったファンタジー世界を通して伝えられる、すでに40年も前にこういった現代の問題を予見しファンタジーとして描いていることに、「物語」の可能性を大きく感じます。暖冬で色づかないいちごを物語の中でどう描くかを楽しみつつ、「今」を考えさせられます。(うきょうさん・兵庫)
 
タイトル ルラルさんのだいくしごと
作者 いとう ひろし 文・絵
出版社 ポプラ社
紹介コメント 屋根で一日過ごさなければいけなくなった、リラルさん。でも眺めている空はとっても気持ち良さそう。きれいな空をいつまでも眺めていたいと思ってしまします。(ドンハマ★さん・千葉)
 
タイトル ペンギンかぞくのおひっこし
作者 刀根 里衣 文・絵
出版社 小学館
紹介コメント ペンギン家族は84羽。すんでいるところが狭くなり引越し先を探しています。あちらの海は? 南へ北へ。月にも行ってさがしてみよう! 可愛い絵です。ほのぼのとした絵です。でも、引越ししないといけなくなった理由は、地球温暖化なのでした。解説に、84羽というのが京都議定書にサインした84カ国の象徴だとあります。月まで探さなければいけないほど、地球は住めない環境になってしまったの? その前に、なんとかしよう! 頭でSDGsを考えるのではなく、心で考える絵本です。(笑子さん・東京)

 【海の豊かさを守ろう】

 
タイトル じんべえざめ
?作者 新宮 晋 文・絵 
出版社 扶桑社
紹介コメント ジンベイザメって魚類の中では世界最大なんだそうです。そのとっても大きなジンベイザメが、たったの22.7×24.7cmの絵本の中に収まって悠々と泳いで見せてくれます。そして、その巨体を包み、育んだ豊かな海もその小さな画面に描かれています。その美しさや豊かさを感じさせ、その海と共にあるということを感じさせてくれます。(うきょうさん・兵庫)

 【陸の豊かさも守ろう】

 
タイトル 森のおくから むかし、カナダであった ほんとうのはなし
作者 レベッカ・ボンド 文・絵 もりうち すみこ 訳
出版社 ゴブリン書房
紹介コメント 人も森の奥にまで棲む動物も安全な場所って同じなんだなって思いました。どの生き物も等しく同じ生命であること。豊かな森林があり、そこに育まれるように存在する湖に救われたいろんな命の絵本ということで、とても象徴的だな、と感じました。(うきょうさん・兵庫)

 【平和と公正をすべての人に】

 
タイトル 平和って、どんなこと?
作者 ウォーレス・エドワーズ 文・絵 おび ただす 訳
出版社 六耀社
紹介コメント 「平和ってどんなこと?」という問いはシンプルなものですが、答えはひとつではなく、様々です。そして、そのどれが正しく、どれが間違っているという事は決して無いのです。 美しい絵と共に作者からの問いかけに、ゆっくりとページをめくりながら、深く考えていきたい絵本です。(神奈川・メルシーさん)

 

 
タイトル 王さまと王さま
作者

リンダ・ハーン/スターン・ナイランド 文・絵 アンドレア・ゲルマー/眞野 豊 訳

出版社 ポット出版
紹介コメント 男性と男性の結婚に至るまでが書かれた物語。オランダで生まれたこの絵本は、日本に根付いた価値観から読むと、そこのテーマ以外にも、あちこち、え?? それ!っとツッコミどころが満載のセリフ、文章がいっぱい。イラストもよーく見ると、人種や宗教も超えて、多様性を認めあっていることが伝わる1冊です。(兵庫・うきょうさん)※SDGsの誰一人取り残さない人というスローガンはテーマ16に包括されていると考えられています。(編集部注釈)

 【パートナーシップで目標を達成しよう】

 

 
タイトル くりすますのおくりもの
作者 木村 由利子 文 松村 雅子 絵
出版社 至光社
紹介コメント 自分はお腹が満たされた、雪降る外を見て、残った分をきっとたいへんな思いをしているだろう友人に譲っていく。くるくると回っていくこの厚意の連鎖のお話。持続可能な状況で、まずは思いやれる人をイメージする、そこに届けられるものを届けるというとても象徴的なお話だと思います。(兵庫・うきょう)